足成さんのもの、フォントはるりいろフォントを使用させて頂いています。
※クリックで大きくなります。
探索者たちは石柱にもたれかかった状態で目を覚まします。
彼らの所持品は無くなっていますが、代わりにかポケットに2つのゼンマイ(後述の情報収集用、合計9個程度を想定)が入っています。
また探索者の内、特に猫に愛着があると考えられる人物は目覚めた時に『1匹の』猫のぬいぐるみを抱きかかえています。
全員が一瞬『自身の飼猫のぬいぐるみだ』だと錯覚するような、不思議な雰囲気を持ったぬいぐるみです。
このぬいぐるみはバーストによって作り出された、探索者の飼猫たちの思考を混ぜ込まれた、この空間へのメッセンジャーです。
調べた場合、まるで生きているような、ふかふかとした柔らかな手触りと体温を感じること。
背中には持ち手に猫の顔を象ったような装飾のされた3つのゼンマイが嵌まっており、まだ巻かれていないことがわかります。
ゼンマイをさらに調べる場合は、ゼンマイをはめ込む穴が『星形』になっていると気づけるでしょう。
神殿で見つかる他のゼンマイは全て『丸型』の穴にはめ込むことによって機能するため、このゼンマイで他を代用することも、他でこのゼンマイを代用することも不可能です。
ゼンマイを回し、ぬいぐるみから情報を聞き出した場合、以下の内容についてなら教えてくれます。
知らないことを聞かれた場合、彼のみ「よく聞こえなかった」などと言い、もう一度質問するように誘導します。
これは、自分の意思でニャルラトテップの『制限』に抵抗し、友人たちに何か情報を言い残そうとするための行動です。
ただし、3回以上『知らないこと』や『意味のないこと』を質問した場合、ゼンマイが『バキン』と音を立てて割れ、該当のゼンマイではそれ以上彼に質問することは不可能になってしまうでしょう。
ニャルラトテップの制限に耐えきれなくなってしまったのです。
探索者に現状や脱出手段を教えるための重要なイベント。
彼から有用な情報を聞き出せなかった場合、探索者たちは神殿の中で途方に暮れる事になってしまうでしょう。
質問回数は『3回』と余裕がありますがが、《幸運》ロールなどを探索者に振らせ、1つくらい追加で情報を教えてしまっても構いません。
もっとも やり過ぎると緊張感が無くなってしまい ゲームが退屈になってしまうため、調子に乗ってペラペラと喋ってしまわないように注意のこと。
・猫の女神『バースト』が探索者たちをこの世界に遣わした。
その理由は、自分たち(猫たち)が優秀な人間を紹介してくれ、と言われ、真っ先に浮かんだからだ。
・この世界は『ニャルラトテップ』を封印するため、仲間の神さまたちとともに『バースト』が創りあげた空間である。
・『ニャルラトテップ』は恐ろしい邪神であり、何千何万もの姿を取り、人間社会に恐怖と災厄をもたらす。
もしかすると、この神殿にもすでに『ニャルラトテップ』の化身が紛れ込んでいるかもしれないので、注意した方がいいだろう。
謎の声の『ウソツキ』について尋ねれば、おそらくそのことだと答えられる。
・この神殿を管理する、『バーストのしもべ』は人形の姿に変えられてしまっているようだ。
ゼンマイが無ければ彼らから情報を引き出す事は出来ない。ゼンマイは数個くらいは落ちているかもしれないが、あまり期待しない方がいいだろう。
・封印の方法は管理人に訪ねて欲しい。
自分が聞いた方法は、カスミが掛かったかのように思い出せない。
『輝く光のトラトラナントカ』という、小箱に入った宝石をどうにかすればいいらしいのだが。
・外に出るためには、封印を成し遂げるしか無い。封印が完了したら、出口の扉を開けて逃げ出して欲しい。
これらの記述はサンプルなので、探索者たちからの質問に応じ、その都度 内容を訂正することが必要となります。
鉄製の頑丈そうな分厚い扉で、内部の情報は聞き耳を立てても分かりません。
扉にはそれぞれ『礼拝堂(左上)・奴隷室(左)・出口(左下)・管理室(右)・図書室(右上)』と彫られています。
また『礼拝堂』の扉のみ、錠前が掛かっています。錠前の詳細は礼拝堂の項にて。
身の丈3mほど、横幅1mほどの大きな石柱がいくつも並んでいます。
その中の1つには鳩時計が掛かっており、下に何者かの手による言葉が彫られています。
現世に災厄を齎す邪神『ニャルラトテップ』ここに封ず。
1つのゼンマイは1つの情報に代わる。1つの質問に答えればゼンマイが切れる。
迂闊に使い切れば核心を逃す。怠惰に構えれば確信を逃す。
日付が変わる時、永久の闇が神殿を覆う。
現在時刻は20:00(4時間後をタイムリミットとする場合)となっているが、針は止まってしまっています。
上部を調べれば、ゼンマイを嵌めるための穴がある事に気づきます。
1つゼンマイを使うと時計が動き出し、探索者たちは現在時刻を知ることが出来るようになります。
ゼンマイを嵌めて回すと、ぎゅるぎゅると針がすさまじい速度で回り、その時点での現在時刻に合わさります。
その後は正常に動作し続けます。
この神殿をニャルラトテップが改鼠した際に生まれた部屋。
中には探索者たちを惑わすためのアイテムや人形が存在する。
石材を無作為に組み合わせて作られたような粗雑な造りの部屋であり、床も壁も一面のくすんだ灰色だが、赤いペンキのようなものがぶち撒けられている。
おまけに唯一の窓には鉄格子が掛かり……極めつけには、手足があちこちに散らばった、血まみれの人形が転がっている。
縮小されたサイズ(40cm程度)とはいえ、精巧に作られた人形は傍目からは人間そっくりに見え、理屈で割り切れない恐怖心を込み上がらせる。
その上、ヤケにリアルな臓物や腸が頭部を失った胴体から溢れだし……
大きな鉄製の箱の側に転がっている頭部からは、ケタケタと愉快そうな声が溢れ続けるのだ。
「殺されちゃった! 殺されちゃった! 猫の女神に殺されちゃった!」と。
部屋に入った場合、恐怖による正気度喪失:1/1d3のロールを行う。
明らかにサイズに見合わない量(成人女性一人分ほど)の血液を流しています。
頭部と会話をしようと思っても、上記の言葉を繰り返すのみで会話になりません。あらゆる意味で壊れてしまっているようです。
《精神分析》や《心理学》を試みれば、彼女に既に意思も意識も残されていないことが分かるでしょう。
胴体にはゼンマイが刺さっています。すでに巻かれている背中のゼンマイを抜き取ると動作が止まりますが、その際 ゼンマイの穴は崩れて壊れてしまい、新たに挿すことは不可能となります。
彼女は『意思が既にありません』。つまり、ウソツキでも正直ものでも無いのです。
人形の頭部の近くにあった、1mほどの横幅の大きな鉄製の箱。ごちゃごちゃと乱雑に物が詰め込まれています。
中身は幼児用のガラガラから、成人用の漫画雑誌や野球のボール、子供用のぬいぐるみ、小型のライター、少女型の人形まで。
《目星》で箱の中を隅々まで調べた場合、ゼンマイを1つ見つける事が出来ます。
少女型の人形からは、会話による情報収集が可能です。
背中にはゼンマイ穴が開いており、衣服のポケットには縮小されたサイズの学生証が入っています。
鳴宮 依鈴(なりみや いすず)17歳。
住所は兵庫県弥代市日登3-6-13(架空の住所です)、付近の夜見野高校(架空の高校です)に通う2年生。
《アイデア》INTロールに成功した探索者は、数ヶ月前、同じ名前の学生が行方不明になったとのニュースを見たと思い出せます。
《経理》や《法律》に成功すれば、ちゃんとした手続きによって発行された、有効な形式のものだと分かるでしょう。
・この神殿は『ニャルラトテップ』を祀る為のもの。
・私は『ニャルラトテップ』に攫われ、人形にされて今までずっと閉じ込められていた。
一緒にさらわれた人もいたと思うが、どこに行ってしまったかはわからない。
・封印を成し遂げる為には、『輝く光のトラペゾヘドロン』の蓋を開き、光を当てる必要がある。
・私の情報は全て、『ニャルラトテップ』に教えられたもの。
彼女の情報は、他の人形から得られるものとは明らかに異質です。
しかしそれは彼女がウソツキだからではなく、情報が偽物であることによる、無意識の産物なのです。
その可能性を考慮せず、彼女をウソツキであると断定してしまった場合は破滅が待っているでしょう。
『図書室』と題された扉は、どこかカビ臭い空気を伴って開く。
真正面に見えるのは、本棚。壁一面を規則正しく並んだ本が埋め尽くしている。
右手側の光景も、左手側の光景も同じだ。壁一面が本棚となり、それでもなお詰め切れないほどに本が詰められている。
中央には円形のテーブルがあり、小さな椅子の上では女性の姿をした人形が、本を開いた状態で固まっていた。
探索者の知っている既存のどの言語とも似ても似つかないような、不思議な文字で書かれた本が並んでいます。
古めかしい本が多く、独特な匂いと威圧感が放たれていると分かるでしょう。
《考古学》で調べた場合、現在発見されているどの言語にも該当しないと分かります。
《図書館》で調べた場合、文字こそ読めないが、ぱらぱらと適当に本をめくっていくことにより、絵の部分だけは内容が読み取れると分かる。
主な部分をまとめると、古代の人間たちは『魂』の実在を信じており、『双子』は『1つの魂を、1人の人間を2つに分けた』ものだと考えられていたそうです。
つまり扱いとしては彼らは『1人』だったのだ、とのこと。
日本語の本が並んでいます。
堅苦しいタイトルの本が多く、見ているだけで頭が痛くなってくるでしょう。
ジャンルとしては、歴史書やオカルト書、神学系の本など。
探索者の中に真面目な本を出版している人物がいれば、彼の本も混じっているかもしれません。
《図書館》に成功すれば、誰かの研究ノートのようなものが混じっていると気づけます。
タイトルは『輝く光のトラペゾヘドロン』。
『輝く光のトラペゾヘドロン』についての記録です。
執筆者名は不明。大学ノート程度の大きさで、誰かの研究ノートのようにも見えるでしょう。
乱れた筆致で筆記されています。
輝く光のトラペゾヘドロン。それは金属製の小箱に収められた、奇妙な宝石と言われている。
本体の宝石の構造は『柘榴石(ガーネット)』のものと良く似ており、その構造的特徴は『偏方二十四面体(トラペゾヘドロン)』という呼び名の由来となっている。
しかし、その色は柘榴石とは似ても似つかぬ黒色であり、一部に赤い縞が入っている。おまけに、覗きこんでしまえば心に異界の光景を浮かび上がらせるという。
この結晶体はかつて、『星の智慧派』なる教団によって所有され、異界の恐るべき存在を呼び寄せる祭器とされていた。
結晶体を深海や箱の中と言った暗闇に閉ざす事により、召喚は行なわれる。
だが、その存在は僅かな光にも弱いという弱点を持ち、それをヒントに敵対組織による封印が施される事になった。
封印は『輝く光のトラペゾヘドロン』の小箱の蓋を開け、月の光を当て続ける事によって行なわれ……誰かの声がする?
窓の外か? おかしい、ここは6階のはず、いや、そんな! あれは何だ! 窓に! 窓に
……文章は途中で途切れてしまっている……
ニャルラトテップによって神殿にもたらされた、つまり『ウソツキによって執筆されたノート』。
バーストの警告に含まれた、『神殿の内部のウソツキ』の正体です。乱れた筆致は筆跡をごまかすためのものなのです。
そもそも本の内容通り、彼が得体の知れない怪物によって襲われたのならば、このノートがこんな場所で見つかるわけはないでしょう。ホラーものでは何故か見つかるのがお約束ですが
詩集や文学、絵本といった楽しげな内容の本が並んでいます。
《図書館》に成功しても これといって目立った情報は見当たりませんが、本棚の端の方に一冊分のスペースが開いています。その両隣は小説の文庫本のようです。
女性の人形が持っている本はここから出したものだと気づけるでしょう。
『古今東西 クイズ、なぞなぞ100選』と題された本。
どこにでもあるような本であり、有名な出版社が数年前に出版したもの。
女性の読んでいる辺りでは、『正直ものとウソツキ』というクイズが紹介されている。
Q:
正直村とウソツキ村、という二つの村がある。
正直村の正直ものは必ず本当のことを言い、ウソツキ村のウソツキは必ずウソをつく。
見た目は非常に良く似ており、ぱっと見では外見を区別することは出来ない。
ある日、そんな彼らの元に旅人が訪れ、正直村への道のりを尋ねようとする。
しかし、どちらが本当のことを言っているか分からないため、困り果ててしまった。
旅人はどうすれば、どちらが正直ものなのかを調べる事が出来るだろうか?
質問の数を最小限にする方法、考えてみよう。
A:
旅人は適当に片方の村を指して、こう尋ねた。
「君たちの村は、この指の先にある村かな」
旅人が指さしたのは、(本人は知らないが)正直村だった。
正直ものは「はい、私はそこに住んでいます」と答える。
そしてウソツキも「はい、私はそこに住んでいます」と答えた。
旅人はその答えを聞き、考えた。この二人のどちらかは必ず正直もの。
なら、「はい」の答えが混じっている以上、この先が正直村に間違いない。
旅人はお礼を言うとすたすたと歩き、正直村に辿り着くことが出来たとさ。
過去、バーストに捧げられた双子の生贄が、ニャルラトテップによって人形へと変えられた姿です。
双子は一人の『管理人』として ここに配備され、封印を永遠に保つ役割が課せられています。
特に何も目立ったものは持っていません。体型はなだらかな痩せ型だが、一部はとても厚みがあり、やわらかい。
・私は猫の女神"バースト"に仕えている。
・私は故郷の人々に、猫の女神の召使いとして捧げられた、永劫に神殿の管理をする存在である。
・本や文集の管理は私の仕事。タイトルや執筆者についても頭に入っている。
・封印を成し遂げるには、小箱を閉じて宝石を暗闇で包むしかない。
・(『正直ものとウソツキ』について意見を求めた場合)
鵜呑みにするのは危険。現実はこんなに単純にはいかない。
特に今の状況では、『ウソツキが必ずウソを言う、つまりウソしか言わない』とは明言されていない。
核心に至る情報でのみ、ウソをつく可能性もあるだろう。
・(『輝く光のトラペゾヘドロン』について尋ねた場合)
そんな本は無かったはず。きっとニャルラトテップによって用意されたものだろう。
たくさんの彩色された彫像が立ち並んでいる。
どれもこれも違う姿だが、妖しいほどの魅力を湛えているのは共通だ。
銀髪の偉丈夫。褐色の肌の淑女。奇妙なほどの色気を持った妙齢の紳士。
それら全てが、何か一つの……言葉では言い表せない、奇妙な……共通点を持っている。そんな気がした。
ふと、見渡してみると1つの人形を見つけた。……若い男性の姿をしている。背中にはゼンマイの穴が開いている……
過去、バーストに捧げられた双子の生贄が、ニャルラトテップによって人形へと変えられた姿。
双子は一人の『管理人』として ここに配備され、封印を永遠に保つ役割が課せられている。
特に何も目立ったものは持っていない。体型はなだらかな痩せ型だが、かなりの筋肉質で、質感からも力強さを覚える。
・私は猫の女神『バースト』に仕えている。
・私は故郷の人々に猫の女神の召使いとして捧げられた、永劫に神殿の管理をする存在である。
・双子の妹がいる。彼女は図書室の管理を行っている。
・人形になってしまったのは、おそらくニャルラトテップの仕業。
・封印を成し遂げるには、小箱を閉じて宝石を暗闇で包むしかない。
・この部屋は管理室。神殿に異常が無いかを管理する場所だ。
礼拝堂に入るための鍵はここにある。あったはず。なんだが、どこかに消えてしまった。なんでだろう。
・これらの彫像はナイアルラトホテップを祀るもの。いつの間にか現れていた。一体何故。
・(『3つの像』について尋ねた場合)
正しい彫像は猫の女神"バースト"を祀る像だ。
しかし……どこか妙な文章だ。何かがおかしいような……? 気のせいかな。
・礼拝堂は『ニャルラトテップ』が入れないよう、鎖付きの錠前による封印が施されている。
本体ならいざしらず、化身程度なら鎖を破壊する事は不可能だろう。(自慢気に笑いながら)
全て『ニャルラトテップ』と題された彫像です。
だが管理室の一角に、他の像とは明らかに雰囲気の違う、真っ白な3つの像が並べられています。
にこやかな笑みを浮かべる淑女の像、厳めしそうに眉をしかめる紳士の像、たおやかなノビをしているネコの像の3つです。
これらの台座を調べた場合、三行に分けられて刻まれた、角ばった文字の文章を見つけます。
・最も尊きものの像の中に、真実への道しるべが入っている。
・道を切り開きたいのであれば、尊きものの像の右手へと汝の右手を差し伸べよ。
・無謀は品なきもののすること。下賎なるものが像に触れれば、罰が下るだろう。
この文章も、ニャルラトテップの手により記されたものです。
そのため、『像の右手』へ汝の右手を差し伸べよ、とのウソが紛れ込んでいます。
正解の『猫の像の右手』は正しくは『右の前足』であり、そう表記しなければならないからです。
この神殿が『猫の女神』を讃えるものだと知っていた場合、猫の像へと手を差し伸べればいいことが分かるでしょう。
正しい像に手を差し伸べると、いつの間にかその手に何かが載せられている事に気づきます。何者かの手によるメモ書きです。
神殿の鍵はウソツキの心臓の中にのみ入っている
丸みを帯びたような字体で書かれています。
この記述は『ウソ』であり、本当は神殿内の全ての人形の心臓に鍵が入って(入れられて)いる。
ただし神殿の管理者たちを殺害した場合、封印の成否いかんを問わずニャルラトテップは復活してしまう。
このメモについて人形たちに質問した場合、『心臓に鍵なんて入っていないと思う』と答えます。自身の心臓の中に鍵が入っているか否かなど、確かめようが無いからです。
字体に対し《目星》や《アイデア》INTロールを行う、人形にメモを『見せて』内容について問いただすと、筆跡をごまかすような不自然な字体だと分かります。
メモの執筆者は図書室にある大学ノートの著者、3つの彫像の台座にある文章の執筆者と同一であるからです。
両者を見比べ《アイデア》INTロールに成功すれば、どうしても隠し切れない字体の癖が表れていることが分かるでしょう。
このメモの内容を信じこみ、すでに死んでいる人形(奴隷室の人形)の心臓を開いた場合は、正気度喪失:1/1d4。
生きている人形の胸を開き、心臓を引きずり出して開いた場合は、正気度喪失:1d3/1d6+1が発生します。
像の口元が歪んだかと思うと、差し伸べた手を握られ、彫像の中へと体が引きこまれていきます。
1ラウンド目で手首まで、2ラウンド目で肩まで。3ラウンド目以降は手遅れです。
STR10との対抗により、その探索者の手首や肩口をねじ切り、救出する事が可能です。
ただし、ねじ切られた探索者は1d4+2ポイントのダメージと、1/1d6+1の正気度喪失。
ねじ切った探索者は罪悪感により、0/1d3の正気度喪失が発生します。
重厚な錠前が掛けられており、扉を開く事は出来ません。
扉を開く方法は、正しい鍵を挿しこむことのみです。
鍵開けを試みても、錠前に差し込んだ途端に器具がグズグズと崩れてしまいます。
指を挿しこんだ場合、指先が焼けるような強烈な痛みを感じるでしょう。
慌てて引き戻すと、指先は溶けてしまって骨が見えています。耐久力-1、正気度1喪失です。
なお、この錠前は『輝く光のトラペゾヘドロン』が閉じた状態を固定する事にも利用出来ます。
部屋の中は荘厳な雰囲気に包まれており、どこか圧倒されるオーラを放っている(気がする)。
内装は教会を模したかのように、中央には一本の通路が通っており、その両脇にベンチが並べられている。
通路の先には祭壇らしきものがあり、燭台の合間に小さな金属製の小箱が載せられている。
小箱は天井のステンドグラスから注がれる光を受け、不気味な光を内包して輝いている。
金属製の小箱に小さな宝石が収められています。
見ていると呑み込まれそうな程に昏く黒い色合いと、血のように赤い縞模様が特徴。
ステンドグラスの光を受けている間は、その昏い黒の奥で、より昏く黒いナニカが渦巻いているように見えます。
この小箱の蓋を閉ざす事により封印は完了します。
宝石はニャルラトテップ召喚の祭器だけあり、非常に禍々しく危険なアイテムです。
偶然軽く見てしまう程度であれば、理解不能な恐怖感(1d2/1d4)で済みますが、警告を無視して覗きこんでしまえば話は別です。
宝石をじっと覗きこんでしまった場合、まずその探索者は《幸運》ロールを行います。
成功すれば、何者かの視線を感じてハッと振り向きますが、誰も見当たりません。
その探索者は以後、3年程度に渡って、暗闇の中に誰かが潜んでいるという妄執に悩まされることになりますが、逆に言えばその程度で済みます。
失敗した場合、心の中に異世界の光景が巡るましく浮かび上がり、3d8/5d10の正気度を喪失、25%の【クトゥルフ神話】技能を獲得してしまいます。
また彼の体の中にニャルラトテップが宿り、正気度が0になるか、何かしらの呪文を唱えた時、体の所有権が完全に奪い取られてしまう結末を迎えるでしょう。
『出口』と題された扉を開けると、まずは小部屋があり、その奥にある出口へのドアには鍵が掛かっています。
《鍵開け》成功で破壊が可能ですが、礼拝堂の鍵によっても開ける事が可能です。
外にあるのは月明かりが照らしている草原。
見渡す限りに草原が広がっており、西に進めば東から、北に進めば南から神殿へと戻る事になります。ようは脱出不可能です。
制限時間が近づくと、急に照明がチカチカと瞬き始めます。
これは神殿に潜むニャルラトテップの化身が、僅かな魔力を削って仕掛けた現象です。
彼は探索者の心に疑心を生み、旧神たちの遣わしたものどもの手により封印を失敗させることを望んでいるのです。
色鮮やかなステンドグラスも、だんだんただの鉄の色へと代わり、光を通さなくなっていきます。
探索者は完全に光が消えてしまうまでに礼拝堂に入り、封印を成し遂げなければなりません。
ここからは選択によって分岐します。
成功ルート。ただし、蓋を閉じたのちに以下のイベントが発生します。
探索者が蓋を閉じると、礼拝堂は静寂に包まれます。
さて、出口から脱出しようと礼拝堂を出ようとした瞬間、探索者は後ろに何者かがすでに立っていた事に気づくでしょう。
「こんばんは」
平静とした声で語りかけるのは、そのセッション内において、探索者が最も仲良くした、と考えられる人形。
困惑する探索者たちに、彼(または彼女)はこう語りかけます。
「間違えちゃったんだね、かわいそうに」男性型の人形の声が響く。
「失敗しちゃったんだね、おきのどくに」女性型の人形の声が響く。
「気付かなかったんだね、私たちの嘘に」少女型の人形の声が響く。
「ウソツキは一人だけ。一人しかいない。でも、三人いるんだ」ぐねぐねと姿を変えながら。
「……さあ。無謀の代償を支払って貰おうか」それは何かを形作る。
暗闇の中に はっきりとした輪郭を持って浮かび上がる漆黒の異形。背が高く、すらりと伸びた人型のシルエット。
顔に肩に胸に腕に肘に腹に腿に脛に脚に開く、無数の口。その全てが横幅いっぱいまで開き、君たちを嘲笑っていた。
真っ赤な歯の合間から、ぬめぬめとした液体に覆われた赤黒い舌が現れる。それは獲物を求めるように、一斉に舌なめずりをした。
あざけるもの、ニャルラトテップの化身
STR:27 DEX:19 CON:11 HP:18
SIZ:24 POW:21 APP:16 MP:21
STR:135 DEX:95 CON:55 HP:17
SIZ:120 POW:105 APP:80 MP:21
MOV:10 ビルド:3
赤黒い舌:1d4*1d4回、50%。クリティカルの場合でも【貫通】による追加ダメージは適用しないものとする。
魅了する:MP1消費、この化身と探索者のPOWを対抗、成功した場合1Rの間行動を操作。
【輝く光のトラペゾヘドロン】を無理やりにでも(奪ってでも)開こうとする。
疑心を生む:MP3消費、探索者全員が対象。POW*5ロールののち、失敗者は【アイデア】ロールを行う。
それに成功した場合、「この怪物が召喚されてしまったのは、蓋を閉じて月光が遮られてしまったからだ。今すぐ蓋を開けて、月光を宝石に当てなければ」と"分かる"。
これは化身の攻撃による産物ではあるが、その事については教えないこと。
探索者が蓋を閉じようとしない場合、さらに【アイデア】ロール。
成功した場合、「探索者の推理は間違っていた」のだと錯覚させるような情報を思い出す。
探索者が気づいていなかったことや考慮に入れていなかったこと。あるいは警戒していたことなどを題材にすると良い。
この攻撃は探索者の疑心を煽り、儀式を失敗させることを目的とするものである。
装甲:物質的な全ての攻撃を無効化し、全身に開いた口が飲み込んでしまう。
この化身に肉体的な攻撃を行った場合、【幸運】ロールを行う。
成功した場合は攻撃に用いた箇所(こぶしなら腕、キックなら足)を喰いちぎられてしまう程度で済むが、失敗した場合は芋づる式に全身が飲み込まれてしまう。
ただし、その探索者が不安そうな発言を多く行っていたり、懐疑的な姿勢を示していた場合、ロールの成否いかんに関わらず、成功した場合と同じ処理を行う。
彼の存在により、封印が破綻することを期待しているのである。
弱点:"月の光"以外の僅かな光にも弱い、という特性を持っている。
僅かな明かりにも反応し、火花やライターの明かり程度でも行動を制限する事ができる。
行動を制限した場合、1Rに4づつMPが消費され、0になれば消滅。
ただし、呪文による攻撃は普通に行ってくる。
【正気度喪失量:1d3/1d8】
この怪物とはまともに戦うより、逃げることが推奨されます。
彼らは人形たちの姿を取っていますが、本物が消滅したわけではありません。
なので、他の部屋に寄り道を行うか、少女型の人形を持ち歩いていれば、本人が存在する=化身のいう事が嘘だと断定出来ます。
また、管理人のいる部屋に逃げ込んだ場合、人形に変えられてしまっていた姿が本当の人間になっている事に気づけるでしょう。
探索者たちを騙すため、僅かな魔力を使いきってしまったニャルラトテップは、彼らに掛けた魔術を維持出来なくなったのです。
(探索者たちが彼らを持ち歩き、礼拝堂の中にいた場合、近くでニャルラトテップの魔力を受けているため、その場で元通りになる事はできません。礼拝堂から逃げ出せば元に戻ります)
彼らと会話を行った場合、「よくやってくれた。後のことは私たちに任せて、早く逃げてくれ」と言われます。
出口まで逃げ、扉を開いて外に出れば、シナリオクリアです。
出口への扉を開くと、探索者の帰還への意思とバーストによる呪文が反応し、暖かい光が全身を包み、そのまま意識が遠くなっていきます。
(そのため、トラペゾヘドロンに光を当てようと外に出たがっている場合、彼らが帰還することはありません)
目を覚ますとそこはいつもの部屋で、「にゃあ」という鳴き声に気づいて振り返ると、各自の飼猫が首に何かブレスレットのようなものを嵌めて座っています。
探索者が近づくと、猫は前足を動かして紐を外そうとするが、どうにも上手くはいかないようです。
不器用な猫を手伝い、さわさわとした毛並みを撫でている内に、探索者は日常へと戻って来たことを実感するでしょう。
正気度回復量は1d6、依鈴を救出していればさらに+1。
また、探索者は猫の首に掛かっていたネックレスを獲得します。
効果は特にありませんが、貴重な宝石が嵌まっており、それなりに高い値段(数十万円ほど)で売ることが可能です。
キーパーが望むのなら、何か特別な効果がある事にしても良いでしょう。
少女型の人形を出口から脱出する時に持っていた場合、行方不明となっていた少女が兵庫県の山中で発見された、とのニュースをその探索者は耳にします。
衰弱してはいたものの、病院にいるうちに快方へ向かうだろう、とのことです。
持っていなかった場合、行方不明となっていた少女が兵庫県の山中で死体となって発見された、とのニュースが流れます。
全身に獰猛な獣によって食い荒らされたような噛み傷があり、胴体と皮一枚で繋がった首の上は、恐怖に引きつった表情を浮かべていたとのことです。
彼女をウソツキと判断していた探索者がいれば、罪悪感から正気度を0/1d2喪失します。
出口への扉は開かない。礼拝堂への鍵も開かない。
どうしよう、どうしようかと途方に暮れているうちに、神殿の中は闇へと閉ざされた。
これでいいのだろうか。これでは駄目なのだろうか。
あれこれと悠長に構えていた君たちは、知ることは無かった。
礼拝堂の中で、いかなる存在が力を蓄えていたのかも、それが如何に膨れ上がっているのかも。
議論に花を咲かせているうちに、礼拝堂から誰かの嘲笑い声が漏れ聞こえ始めた事に気づいた。
それは次第に大きく、強く、文字通り膨れ上がり、やがては礼拝堂への扉を破壊し、そして……
慎重に進んだ君たちは知っておくべきだった。
度が過ぎたそれは、単なる愚鈍と呼ばれることを。
あれこれ悩んでいるうちに命運が尽きるという、最悪の結末です。
このルートの場合、ニャルラトテップがステンドグラスを鉄に変えてまで探索者を騙す必要はありません。
月光を浴びたトラペゾヘドロンは力を取り戻し、ニャルラトテップ召喚の祭器としての役割を存分に果たします。
全員ロストとなり、二度と目覚める事は無いでしょう。
タイムリミットの瞬間、あるいは探索者が宝石に光を当てた途端、何かが宝石から噴出する。
月光をバックに光を通さない漆黒の奔流が溢れ、それが地面に降りた途端に何者かを形作る。
友人、隣人、飼猫……親しい人々の姿。奔流が終わると同時に、彼らはニタリとまったく同じ笑みを浮かべ、探索者を嘲笑い始めた。
常軌を逸した光景。それを眺めているうちに、自然と笑みが溢れる。
にたにたと口元が歪む、くすくすと嘲笑い声が漏れる。彼らは知ることは無い。
その顔に、目の前の人々とまったく同じ笑みが浮かんでいることなど……
封印に失敗したエンディングです。
現世には帰れる。帰れるのですが……その胸裡にニャルラトテップが宿り、自身が新たな祭器と化してしまいます。
また、探索者がベッドから起き上がった時、飼猫が無残なバラバラ死体と化しているのも目撃する事になるでしょう。
探索者は3d8/5d10の正気度を喪失、25%の【クトゥルフ神話】技能を獲得。
体の中にニャルラトテップが宿り、正気度が0になるか、何かしらの呪文を唱えた時、体の所有権が完全に奪い取られてしまう結末を迎えます。
不意に、窓から差し込んでいた朝の光が消えた。
困惑している探索者は、何者かが窓とドアを叩く音を聞きとる。
さらに天井から笑い声が響く。壁から嘲る声が響く。閉塞した空間の中を、不快な音が跳ねまわる。
……君の頭に疑問が浮かぶ。封印は成功した。成功したはずだ。なのに、何故。
そこでようやく思い当たる。成功した。だが……一体だれが、それが解かれないように管理し続けるのだろう?
笑い声は止んだ。一切の音が消え、窓から何かがずぶずぶと侵入してくる光景を、君は呆然と眺めていた。
ああ、窓に、窓に……
ああ、窓に! 窓に!
ハッピーエンドの描写ののち、上記の描写。もちろん全員ロストとなります。
何とか逃げ去ったところに告げられる、やるせない結末。
しかし、ある意味美味しい死に様かもしれません……たぶん。
ほとんどはハッピーエンドの場合と共通。
しかし旧神たちがお膳立てをした、トラペゾヘドロン封印の空間は、その中に封印対象を残すことなく閉ざされた。
管理人たちは未来永劫、何も目的の無い空間で静かに過ごすことになるだろう。
その日から、探索者たちの飼猫はその姿を消すことになる。
新たな封印の場所、機会を求め、世界中を駆け巡らなければならないからだ。
最悪の事態は避けられたものの、封印が成功する事は無かった。
戦いはこれからも続く。探索者たちが日常を謳歌する裏側で、いつまでも……
準ハッピーエンド。ビターエンドとも言います。
日常への帰還に成功しつつも、どこかやるせない結末に。
果たして、飼猫たちは無事にニャルラトテップの崇拝者たちをやり過ごし、新たな封印の機会を作り出す事が出来るのでしょうか?
もしかすると、このエンディングは別の冒険への取っ掛かりとなるかもしれません。
取り扱いや受け答えに非常に難儀するシナリオです。
そのため、回していると疲れます。疲れるのです。がんばってください。
何かありましたら、ツイッターまたはWEB拍手にて。
ツイッターの方は@kogamizenで登録されています。
『嘘つきが一人いる』と言われ、三人のキャラクターが登場するのなら、対処の王道は消去法です。
『一人違うことを言っているキャラクターが偽物だ』。ただ、これであっさり解決してしまってはセッションを楽しめません。
そのため、『双子は実質は一人だよ』と告げることで、疑心暗鬼を生じてもらう必要があります。そのための情報です。
ややこしいですが、『元々ニャルさまの彫像があり、数が増えた』ではなく、『ニャルさまの彫像が(バーストの神殿に)増えた』ということになっています。
元々はニャルさまの彫像は一つも置かれていませんでした。言葉選びがまずかったですね……(修正掛けました)
真に鍵を見つけるためには、既に死んだ人の心臓から鍵を取り出すだけで済みます。
嘘なのは『嘘つきの心臓にだけ』という部分です。あまりにPLが疑いすぎる場合、KPからそれとなく伝えてしまうといいでしょう。
その通りです。最後の疑心暗鬼ポイントとなります。
現れ方についてもそれで正しいです。
基本的に『無い』と言って過言ではないと思います。
ただ、何事にもイレギュラーはありますので、設定上起こりうることとして一応記載してある次第です。