基本的に物置き

時には中身のない話を / 引き算で作るゴースト


はじめに

当記事は伺か・伺的 Advent Calendar 2025に参加したものです。

はじめましての方ははじめまして。古閑未善と申します。
今年は既に作例ゴーストにいろんな機能&解説が増えたよという記事でアドカレにお邪魔させていただいておりますが、第2会場が空いているのでせっかくなのでさらにお邪魔させていただきました。
今回の記事はノウハウの普及や界隈の発展、新規の障壁緩和を祈願したものではなく、私の公開しているゴーストふくふくアフターライフ(仮)の紹介記事です。

つまり、実利性はまったくありませんが、読めばあなたの伺かライフがちょっと豊かになるやもな記事となっております。
ちょっぴり伺かと似てますね。似ているということで、お手すきの際にでも読んでいってくださいませ。

ふくふくアフターライフ(仮)って?

福子近影

簡潔に言うと、ゆるい雑談とコミュ反応を楽しむゴーストです。
以上です。……いえいえ、あながち冗談でもありません。このゴーストは引き算で作られたものだからです。

普通、ゴーストには様々な要素がありますよね。例えば好感度。ストーリー。他にもアドカレで別の方がご紹介いただいている通り、ランダム要素を入れてみたり、ミニゲームを搭載しているなんてものもあります。
骨組みとなるトーク&コミュにそうしたものを足し算していくことで、単なるコンセプトのみと違った差別化が可能となるわけです。

福子(人名ですが、ここではゴースト自体を指します)はその逆です。ゴースト内に複雑な要素はなく、せいぜいソロとペアの切り替えができる程度。
その切り替えを行っても雑談とコミュのパターン以外の要素は増えません。
つまり、福子は足し算を行わずに作られたゴーストなのです。

「引き算」の手法

じゃあ引き算じゃなくない? と思われたかもしれません。
でも福子の開発を語るには引き算という表現が正解です。その理由は福子の前作にあります。

それが冬咲く葵というゴーストです。その特徴をざっくり言うと「悲喜こもごもの雑談、好感度、ストーリーを持ったゴースト」です。
葵はコンセプトとして「長く楽しむ」というものを掲げていました。そのために用意されたのが、それらの要素です。
多数のトークで飽きさせず、日常の動作で好感度が上がり、ストーリーが進んで関係性が変わる。
いわば、変化です。変化は愛着を生み、愛着はゴーストの起動へ向かう感情の呼び水になります。非常にポピュラーで、そして有効な手法だと思います。

とはいえ、そうした愛着や変化は時にユーザ側への負担ともなります。
「面白いけど疲れる」作品。そう聞いて脳裏に浮かぶタイトルがいくつかあるのではないでしょうか。

福子はその逆を目指しました。「面白くないけど疲れない」。これが第一目標です。
自身の創作物を面白くないと断言していますが、これは面白さを捨てたということではありません。
「疲れる面白さを捨てた」という意味です。ゆるめの4コマだとか、どうぶつの森のようなゲームをイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。

惹きつける強さを持たなくても、楽しむことはできる。無論、それは強力な武器を一つ捨てるということであり、言ってしまえば「刺しに行く」のではなく「刺さるのを待つ」、いわば受け身の、弱い戦術です。
ですが、そうすることでしか持ち得ない面白さもまたある……というのが私の持論です。
(うまく行ったかどうかは、実際に福子をお迎えして確認していただければ幸いです)

「中身がない」という武器

かくして福子は「ゆるい雑談とコミュ反応を楽しむ」ゴーストとなりました。
トークは食べもの飲みものの話題に料理関連の豆知識といった事柄が中心で、奥行きの広いものではありません。
いわば「引っかかり」を持たず、ユーザはのんびり受け流して「へー、ふーん」で終われる。実に中身がありません。
つついても撫でてもそれほど嫌がることもなく、勝手に終了されたり、好感度が下がることもありません。

でも、それこそが福子の特徴であり、一番の武器でもあるのです。
ユーザは勝手気ままに起動し、楽しみ、飽きたら離れ、記憶によぎればまた起動してみる。
すると更新されており、ちょっとだけ新鮮に楽しめる……
そんなゆるい付き合いのできるゴーストがふくふくアフターライフ(仮)なのです。

終わりに

と、これにて紹介はおしまいです。
上述の通りゆるっとしたゴーストですが、たくさん追加シェルがあったり(全部お手製ですが……)、今も毎月更新を続けていますので、ちょろっとお迎えしてちょろっと楽しんでいただければ幸いです。

なお、伺か・伺的 Advent Calendar 2025は12月14日現在まだ空き枠があります。
さらには通常のアドカレと違い、過去の日付への記事投稿も許可されているという無法心遣いにより、かなりゆるく参加が可能です。
作者がゴーストを紹介するだけのこんな記事でも参加できますので、よければあなたも何か書いてみてはいかがでしょうか。

当記事の仮想的前日にはマサモト/池永さんの『いきなり!トーク(略) おかわり!』が、翌日には帽子屋xxxさんの『今年も絵を描いた2025』が投稿されています。
トークを『型』で仕上げる過程を書いた記事に、絵師さんが一年を振り返る記事と非常に興味深い内容となっていますので、よければそちらも併せてどうぞ。